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いちばん最初に読む「エリプソメータ」


本サイトは、初めてエリプソメータに携わる、以下のような疑問をお持ちの方を対象としています。
●エリプソメータってどんなもの?
●何を測るの?
●どんな試料が測れるの?測れないの?


「エリプソメータとは」

エリプソメータ (Ellipsometer) とは、膜の厚み屈折率などを、光を利用して測定する装置です。

「エリプソメータ」を短縮して、通常 「エリプソ!」 と呼ぶこともあります。 注)「エリくそ」ではありません。

"Ellipse"は"楕円(だえん)"と言う意味で、エリプソは日本語では「楕円偏光解析装置」とも
呼ばれます。

こんな感じの装置です。
この他に、パソコンなんかも必要になります。

装置はこんな感じ

上の写真が、エリプソメータの一例です。幅:30cm、奥行き:40cm、高さ:50cm位の大きさです。

中央に見えるステージの上にサンプルを載せます。
この装置の場合左側に光源が有り、光がサンプル表面で反射した後に右側に有るセンサに入ります。
サンプル上で光が反射した時に、光の状態が変化するのですが、その変化を測定すると
サンプル上の膜の厚みがわかるというしくみです。
膜に光を当てる時も、膜に対して真上から(垂直に)当てるのではなく、斜め方向から
当てるのもエリプソの特徴です。

こんなふうに反射させる
もちろん実際には、測定光がこんなにはっきり見えることはありません。

エリプソが測定するのはとっても薄い膜で、nm(ナノメートル)単位の厚みを測定します。
mm(ミリメートル)の「100万分の1」の単位を、nm(ナノメートル)と言いますが、エリプソは
このnm程度の薄い膜を主に対象とします。
μm(マイクロメートル:ミリメートルの1000分の1)の厚みになってしまうと、エリプソにとっては
ずいぶんと厚く感じられます、

エリプソが膜の厚みを測定しようとする時には、薄い膜の表面で反射してくる光と、膜の裏面
(つまり膜を付けた基板の表面)で反射してくる光を測定する必要があります。
その為、測定しようとする膜が光を通さない場合や、基板の表面が粗く十分な光が反射して
こない場合は、エリプソでの膜厚測定には適しません。

こんな時は測れない

また透明なフィルム基板を使用した場合などは、基板の裏面で反射した光も測定してしまう
ので、やはり膜厚測定には適しません。基板の裏面からの反射光は不必要な情報なので、
測定する為には基板裏面からの反射光を除去するような工夫が必要になります。

基板裏面からの反射はいらない!


「エリプソメータの測定原理」

ある一定の状態の光を膜に当てて、反射してくる光がどの様に変化しているかを測定します。

「ある一定の状態」と言うのは、通常「直線偏光」であり、反射してきた光の状態は「楕円偏光」
であったり、「円偏光」であったり、「直線偏光」のままであったりします。
「偏光」という言葉も耳慣れないかもしれませんが、それについては詳しく解説しているサイトがたくさん
ありますので、時間のある時に検索してみてください。

ところで、最初の部分「エリプソメータとは」では、分かりやすいように「エリプソメータは
膜の厚みなどを測定する装置」と書きましたが、正確に言いますと直接“測定する”のは
測定試料から反射してきた光がどういった状態なのかという点だけです。
測定された光の状態の情報を元に、その後の“計算”で膜厚などを算出します。

また、光を斜めに当てる時に、どの角度で当たっているか(入射角)をしっかりと把握して
おかなければなりません。これも膜厚計算の時に、大切な要素になります。
その為、エリプソの光源側(左側)も、センサ側(右側)も傾きがしっかりと調整されています。
多くの場合、入射角は70度です。(垂直に当てる場合の入射角を0度と考えます)

ちなみに最初の写真の上の方、CDDモニターに目玉みたいに写っているものがありますが、
これは「オートコリメータ」といって、光でサンプルの傾きを見る為の測定器です。
エリプソでは、サンプルがちゃんと水平に置かれているかを、確認する為に使われています。
※サンプル自体が水平に置かれていないと、入射角をしっかり把握するのが難しいですからね。

反射光がどういった状態か、つまりどういった偏光状態かは、Ψ(プサイ)とΔ(デルタ)という
二つのパラメータで表されます。
測定されたΨ、Δから、その膜がどの位の膜厚で、どういった屈折率なのかを計算します。


「エリプソメータの光源」

エリプソメータは大きく分けて、レーザーを光源とするもの(単波長タイプ)と、キセノンランプ
などの白色光を光源とするもの(分光タイプ)があります。

分光タイプは単波長タイプに比べて、より複雑な測定が出来ます。
つまり、多層膜(何層にも重なっている膜)の解析や、膜と基板の間(界面)の状態を詳しく
解析することも可能です。
ただ難点は、この解析が難しい点です。また装置価格も高くなります。

単波長タイプは、基本的には単層(一層)の膜が対象ですが、分光タイプと比べると安価で、
測定も早く、操作も容易なのが利点です。


以上、エリプソについて、いちばん最初に良く聞かれる質問に付いて書いてみました。
エリプソに関しては、多くのサイトに解説されていたり、書籍も販売されています。
このサイトが、「エリプソメータ」を理解する最初の一歩になれば幸いです。

 


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